リタイア後の生活費計算を徹底解説:具体例と注意点

FIREマニュアル
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FIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指すためには、まず自分が引退後の生活に必要な資金を明確にすることが重要です。しかし、「どのくらいの資金が必要なのか?」という問いに対する答えは人それぞれ異なります。本記事では、FIRE達成に向けて必要な資金を具体的に算出する方法について、わかりやすく解説していきます。

リタイア後に必要な生活費の基本

リタイア後の生活費を計算する際、まずはどんな支出項目があるのかを把握することが大切です。主な生活費の項目は以下の通りです。もっと細かくは後で記します。

  1. 住居費
    家賃や住宅ローン、固定資産税など、住居にかかる費用が含まれます。持ち家の場合でも、修繕費や管理費などの支出があります。
  2. 食費
    毎日の食事にかかる費用です。外食や自炊の頻度により大きく変わるため、自分のライフスタイルに合わせた計算が必要です。
  3. 医療費
    年齢が上がるにつれて、医療費が増える傾向にあります。定期的な健康診断や薬代、急な入院など、将来的なリスクを考慮して予備費を確保しましょう。
  4. 通信費・光熱費
    インターネット、スマートフォンの通信費や電気・ガス・水道代など、毎月かかる固定費です。
  5. 趣味・娯楽費
    リタイア後の時間を充実させるために趣味や娯楽にかかる費用です。旅行、習い事、友人との食事など、個人のライフスタイルに応じて大きく異なります。
支出項目内容
住居費家賃、住宅ローン、固定資産税、修繕費
食費外食、自炊による食材費
医療費健康診断、薬、医療保険
通信費・光熱費インターネット、スマホ代、電気・水道代
趣味・娯楽費旅行、娯楽、友人との食事など

リタイア後の生活費を具体的に計算する方法

次に、実際にリタイア後の生活費を計算する方法を見ていきましょう。

  1. 月々の生活費を見積もる
    最初に、現役時代の月々の生活費を元にリタイア後の予算を立てます。例えば、現役時代に月30万円使っている場合、リタイア後の生活費もそれを基準に計算できます。ただし、住居費や医療費など、リタイア後に増減する費用も考慮しましょう。
  2. リタイア後の支出の変動を考える
    リタイア後は通勤がなくなり、交通費が減る一方で、自由時間が増えるため趣味や娯楽にかかる費用が増える可能性があります。さらに、医療費の増加や家の修繕費も考慮する必要があります。
  3. 支出項目ごとに予算を立てる
    各支出項目ごとに具体的な予算を設定します。例えば、住居費が月7万円、食費が月5万円、医療費が月2万円などです。これを基に、リタイア後の1ヶ月の生活費を計算します。
  4. 年間の生活費を計算する
    月々の生活費を12倍し、さらに年に一度の大きな支出(例えば、年末年始の旅行や家電の買い替えなど)を加えて、年間の生活費を算出します。
  5. 予備費を加算する
    リタイア後の生活には予想外の支出がつきものです。例えば、突然の病気や事故、家の修理が必要になった場合などに備えて、年間生活費の5%~10%程度の予備費を確保しましょう。
項目月額(例)年額(例)
住居費70,000円840,000円
食費50,000円600,000円
医療費20,000円240,000円
通信費・光熱費15,000円180,000円
趣味・娯楽費30,000円360,000円
年間合計(予備費含む)1,000,000円12,000,000円

生活費の計算に影響を与える要因

生活費は、いくつかの要因で変動します。以下に主な要因を挙げ、リタイア後にどのように影響するかを説明します。

  1. 住む場所
    都市部と地方では生活費に大きな差があります。都市部に住む場合は、家賃や物価が高くなる傾向があるため、リタイア後も支出が増える可能性があります。
  2. 生活スタイルの変化
    リタイア後の生活スタイルに応じて、支出が増減します。旅行をよくする場合は娯楽費が増えますし、家で過ごすことが多い場合は光熱費が増える可能性があります。
  3. 年齢と健康状態
    年齢が上がるにつれて、医療費が増加する傾向にあります。また、健康状態によっては、介護や看護の費用がかかることも考慮しなければなりません。
  4. インフレの影響
    将来的にインフレが進行すれば、日用品や食費が高騰することがあります。長期的に生活費を計算する際には、インフレリスクも織り込んでおくことが重要です。
  5. 家族構成の変動
    リタイア後も家族と一緒に住む場合や、逆に一人暮らしを始める場合によって、生活費は変動します。
要因影響
住む場所都市部は家賃や物価が高い
生活スタイルの変化趣味や娯楽、旅行頻度で支出が変わる
年齢と健康状態医療費や介護費用が増える可能性がある
インフレの影響長期的に物価が上昇するリスクがある
家族構成の変動家族人数により食費や住居費が変わる

リタイア後の生活費を削減するための工夫

リタイア後の生活費をできるだけ抑えたいという方も多いでしょう。いくつかの工夫で支出を効率的に削減できます。

  1. 住居費の見直し
    賃貸の場合、より安い住居に引っ越すことで住居費を削減できます。また、持ち家の方はリフォーム費用を抑える工夫や、老後の住宅ローン返済を見直すことが有効です。
  2. 固定費の削減
    通信費や光熱費のプランを見直すことで、毎月の固定費を抑えることができます。例えば、格安スマホに変更することで、通信費を大幅に削減できます。
  3. 自炊を増やす
    外食を控え、できるだけ自炊をすることで、食費を抑えることができます。特に定期的に外食する習慣がある方は、自炊を取り入れることで大幅な節約が可能です。
  4. 不要な保険の見直し
    リタイア後は、現役時代に必要だった保険が不要になることがあります。保険の見直しを行い、不要なものを解約することで月々の支出を減らせます。
  5. 趣味や娯楽のコストを抑える
    旅行や外出の代わりに、図書館や公園など無料で楽しめる場所を利用することで、趣味や娯楽にかかる費用を抑えることができます。

FIRE達成に必要な資金の目安

以上を踏まえて、FIREにはいくら必要でしょうか。

FIREに必要な資金の目安として、一般的には年間生活費の25倍を用意することが推奨されています。これは「4%ルール」に基づいたもので、年間生活費の4%を資産から引き出しても元本を減らさずに長期間生活できるという考え方です。

  • :年間生活費が300万円の場合、FIREに必要な資金は以下のように計算されます。
    • 300万円 × 25 = 7,500万円

この計算は、引退後に資産を運用しつつ、資産の減少を避けながら生活していくことを前提としています。

自分の生活費を把握する

FIREに必要な資金を計算するためには、まず自分の年間生活費を把握する必要があります。以下のような方法で、年間生活費を算出しましょう。

  • 毎月の支出を記録する
    • 家計簿アプリやスプレッドシートを活用して、毎月の支出を記録します。
    • 1年間の記録をつけることで、年間の平均的な支出を把握しやすくなります。
  • 固定費と変動費に分けて考える
    • 固定費:毎月一定額かかる支出です。
      • 家賃:住居費用。例:7万円〜15万円/月。
      • 保険料:生命保険、医療保険などの保険料。例:1.5万円〜3万円/月。
      • 水道光熱費:電気、ガス、水道などの光熱費。例:1.2万円〜2.5万円/月。
      • 通信費:インターネット、携帯電話代など。例:0.8万円〜1.5万円/月。
      • 教育費(塾代など):子どもがいる場合、塾や習い事の費用。例:2万円〜4万円/月。
    • 変動費:月によって変動する支出です。
      • 食費:自炊や外食を含む食費。例:3万円〜8万円/月。
      • 消耗品費:日用品、衛生用品などの費用。例:1万円〜2万円/月。
      • 趣味・娯楽費:趣味やレジャーに使う費用。例:1.5万円〜5万円/月。
      • 交通費:公共交通機関やガソリン代。例:0.5万円〜2万円/月。
    • 例1
      • 固定費:家賃10万円、保険料2万円、光熱費1.5万円、通信費1万円 → 合計14.5万円/月
      • 変動費:食費5万円、趣味・娯楽費3万円、交通費1万円 → 合計9万円/月
      • 総計:固定費14.5万円 + 変動費9万円 = 23.5万円/月
      • 年間生活費:23.5万円 × 12 = 282万円/年
    • 例2(家族世帯の場合)
      • 固定費:家賃15万円、保険料3万円、光熱費2.5万円、通信費1.5万円、教育費4万円 → 合計26万円/月
      • 変動費:食費8万円、趣味・娯楽費5万円、交通費2万円、消耗品費2万円 → 合計17万円/月
      • 総計:固定費26万円 + 変動費17万円 = 43万円/月
      • 年間生活費:43万円 × 12 = 516万円/年
    • 例3(引退後のシンプルな生活を想定)
      • 固定費:家賃7万円、保険料1.5万円、光熱費1.2万円、通信費0.8万円 → 合計10.5万円/月
      • 変動費:食費3万円、趣味・娯楽費1.5万円、交通費0.5万円、消耗品費1万円 → 合計6万円/月
      • 総計:固定費10.5万円 + 変動費6万円 = 16.5万円/月
      • 年間生活費:16.5万円 × 12 = 198万円/年
  • 目標とする生活スタイルを考慮する
    • 引退後のライフスタイルによって必要な生活費は変わります。
      • 例えば、旅行を多く楽しみたい場合は、年間50万円程度の旅行費を加算する必要があります。
      • :年間生活費282万円 + 旅行費50万円 = 332万円/年
  • 突発的な支出の考慮
    • 医療費、家電や車の買い替え、子どもの入学金など、突発的に発生する支出も考慮しておくことが重要です。
    • :年間30万円を予備費として設定し、年間生活費に加えます。
      • 総計:年間生活費332万円 + 予備費30万円 = 362万円/年
  • 税金や社会保険料の考慮
    • 日本で生活する上で、所得税、住民税、年金、健康保険料などの税金や社会保険料も大きな支出となります。
    • :年間50万円を税金・社会保険料として設定し、年間生活費に加えます。
      • 総計:年間生活費362万円 + 税金・社会保険料50万円 = 412万円/年

40代日本人のモデルケース:生活費の内訳

以下に、40代の日本人家族(夫婦と子ども1人)を想定した生活費のモデルケースを示します。

支出項目支払頻度モデルケースの金額(円)
家賃毎月150,000
電気代毎月10,000
ガス代毎月8,000
水道代毎月7,000
車両維持費毎月20,000
通信費毎月15,000
食費毎月80,000
保険料毎月30,000
教育費(塾代など)毎月40,000
趣味・娯楽費毎月50,000
交通費毎月20,000
消耗品費毎月20,000
医療費不定期100,000/年
家電の買い替え5〜10年ごと200,000
車の買い替え10年ごと2,000,000
子どもの入学金小中高・大学500,000〜1,000,000
旅行費年1〜2回500,000
税金・社会保険料年間500,000
家具・家財の購入・更新数年ごと300,000
住居のメンテナンス費用10年ごと1,000,000
冠婚葬祭費用不定期200,000
保険の自己負担金不定期50,000
衣服・被服費毎月15,000
子どもの進学準備費用不定期100,000
健康・美容費毎月10,000
交際費不定期30,000
家のリフォーム費数十年ごと2,000,000
ペット関連費用(該当する場合)毎月10,000

支出合計してみる

  • 毎月の支出合計
    • 家賃 + 電気代 + ガス代 + 水道代 + 車両維持費 + 通信費 + 食費 + 保険料 + 教育費 + 趣味・娯楽費 + 交通費 + 消耗品費 + 衣服・被服費 + 健康・美容費 + ペット関連費用
    • 毎月の支出合計 = 150,000 + 10,000 + 8,000 + 7,000 + 20,000 + 15,000 + 80,000 + 30,000 + 40,000 + 50,000 + 20,000 + 20,000 + 15,000 + 10,000 + 10,000 = 465,000円/月(すみません途中で項目足したりいろいろしていたので計算は違うかも)
  • 予備としてプールしておきたい金額
    • 家電の買い替え、車の買い替え、住居のメンテナンス費用、家のリフォーム費などの不定期な大きな支出を考慮
    • 予備としてプールしておきたい金額 = 200,000 + 2,000,000 + 1,000,000 + 2,000,000 = 5,200,000円

このように、毎月の支出と不定期な支出を把握し、総合的に生活費を算出することで、FIREに必要な資金を明確にすることができます。

上記の金額見ていかがですか?
「こんなにかけてないよ」でしょうか。
「こんなもんだよね」でしょうか。

その金額を25倍した金額があればFIRE・・ですけど、上記例なら46万×12ヶ月×25倍で1.3億円です。

もちろんこれは運用益のみで賄う場合。
前項の「どのFIREを目指すのか」によって大きく変わります。

また、持家で固定資産しかかからないかもしれません。
必要金額が半分なら、6.5千万円でクリアです。

いきなり生活レベルを下げるのは厳しいので、どんな生活をしたいか考えながら、毎月の出費は今すぐに調整していくことをオススメします。

まとめ

リタイア後の生活費を計算する際は、住居費、食費、医療費など基本的な支出項目を考慮し、月々の予算をしっかり立てることが大切です。

また、予備費を確保し、将来の予想外の支出に備えることも重要です。

そして何より「自分がどんな生活をしたいか」を考えることが大切です。

すぐには生活レベルは変えられません。徐々に合わせていきましょう。
FIREする時点では、生活レベルも合っている必要があります。

そこでアジャストしても、生活スタイルや住む場所、健康状態に応じて生活費が変動するため、計画を柔軟に見直しながら、リタイア後の安心した生活を築いていきましょう。

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